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自己肯定感を上げる取り組みのリスク

①カウンセリング視点

カウンセリングでは、「評価をしない」という意識を持ちながら、会話を行います。

「評価」は攻撃性につながるからです。

有名人がSNSなどで批判の声を浴びているのを見たことがあるかと思います。その批判の声の根源には、「評価」が存在しています。

自己肯定は「評価」の1つです。

自己肯定感を上げる取り組みをすることによって、自分自身を「評価」する癖が身につきます。

自分自身を「評価」するようになると、自分自身への攻撃性が芽生え、やがて「自分に厳しい自分」を認めてもらいたいという、承認欲求が強くなりなす。

その承認欲求を満たすために、他者を評価するようになります。

「自分は他者を評価できる立場である(=自分の方が他者より優れている)」と表現をすることで、その承認欲求を満たそうとするのです。

やがて、他者を評価する癖がついていき、他者への攻撃性が強くなり、「誹謗中傷・いじめ・パワハラ」につながるリスクが高くなります。

また、攻撃をしている本人は、自分の正当性によって攻撃をしているため、「誹謗中傷・いじめ・パワハラ」をしている自覚がない状態に陥りやすくなります。

 

②ポジティブ心理学視点

ポジティブ心理学は、「前向きに考える」というものではありません。
それは、ポジティブ思考です。

ポジティブ心理学は、「感謝をする対象を見つけると、自然と前向きな気持ちが芽生える」といった心理学です。

そのポジティブ心理学では、「肯定するから、否定が生まれる」と考えます。

よくある事例としては、精神疾患を抱えたクライエントさんが「今日は頑張って仕事に行くことができた」と自己肯定をすることによって、反対に体調が優れずに仕事に行くことができなかった際には、「仕事に行けなかった自分はダメだ」と自己否定をします。

実際には、責任感を持って仕事に行くのも、体調を優先して休むのも、自分の人生の選択の1つで、その時に優先したいことを優先しているだけですので、「仕事に行く自分を肯定」しなければ、「仕事を休む自分を否定」しないで済むということです。

ポジティブ心理学においてポイントとなる見解は、「肯定感情」より「否定感情」の方が影響力が強いということです。

有名人がテレビなどでSNSの誹謗中傷について話をする際に、
「たくさんの応援コメントの中にある、少数の誹謗中傷のコメントに意識を引っ張られて、心を痛めた」
といった発言をしているのを見聞きしたことはないでしょうか。

「肯定感情」よりも「否定感情」の方が影響力が強いことを表す事例だと思います。

​つまり、自己肯定感を上げる取り組みをすることによって、自己否定をするようになり、自己肯定よりも自己否定の影響力を大きく受けて、自信を喪失するリスクやうつ病を患うリスクが高くなると考えられています。

 

③アドラー心理学視点

世界三大心理学の一つであるアドラー心理学では、
「自己肯定感を上げる取り組みによって、独善的になり、自分が見ている世界で判断をするようになる」
と考えられています。

例えば、自分の知人で「店員さんにやさしく接するAさん」という人がいた場合、
「Aさんは店員さんにやさしく接するから良い人だ」といった感じで、「自分が見ている世界」で判断をします。
「Aさんがなぜ店員さんにやさしく接するのか」という「他者(Aさん)が見ている世界」への関心が芽生えにくくなるのです。

「かわいい」「かっこいい」「やさしい」「気配りができる」「思いやりがある」「情に厚い」「頭が良い」といった表現はすべて、相手と接していれば気がつくことができる「自分が見ている世界」です。

一方で、「かわいくするようになったきっかけ」「やさしくなった背景」「なぜ気配りをするのか」といった「他者が見ている世界」は、相手に聞かないと、知ることができません。

自己肯定感を上げる取り組みをすることによって、「相手に聞いて知りたい」という関心が芽生えることが減り、「自分が見ている世界」で判断をすることが増えていきます。

その結果、「自分が見ている世界」と「他者が見ている世界」が交わらなくなり、
​「自分の気持ちをわかってくれない」という感情が芽生えやすくなり、人間関係において衝突が起こりやすくなります。

 

以上の①②③をまとめますと、
自己肯定感を上げる取り組みには、
①評価癖がつき、自分自身や他者への攻撃性が強まる
②自己肯定よりも自己否定の方が強く、自信を失う
③「自分が見ている世界」での判断が増え、「他者が見ている世界」との交わりが減り、人間関係において衝突が起こりやすくなる
といったリスクがあります。

つまり、
・カウンセラーが「自己肯定感を上げましょう」とアドバイスする
・書籍や記事で「ポジティブ心理学で自己肯定感を上げよう」と書いてある
・書籍や記事で「アドラー心理学で自己肯定感を上げよう」と書いてある
というのは、本質から外れた取り組みや情報となります。


では、なぜ自己肯定感を上げる取り組みが存在するのかといえば、自己肯定感を上げることで、一時的に心の痛みを和らげる効果があるからです。

「自己肯定感を上げる」=「心の痛み止めの薬を飲む」というイメージです。

心が痛くて苦しい時は、痛み止めの薬を飲むのも大事な選択肢です。

一方で、痛くないのに痛み止めの薬を飲んだり、痛み止めの効果で一時的に痛みが治まったことで痛みの原因を放置したりすれば、身体的に良くないことが想像できると思います。

自己肯定感を上げる取り組みは、リスクを考慮した上で、心の痛み止めとして行うかどうかを判断していただければと思います。

また、自己肯定感を上げる取り組みは日本独自のものであり、世界的に評価が高いのは、アドラー心理学の「自己受容」です。

​日本でも、アドラー心理学や自己受容について書かれた書籍として、『嫌われる勇気』や『幸せになる勇気』といった本が多くの人に読まれています。

以前にくらべて、
・評価癖がついている
・攻撃性が高くなっている
・自己否定が増えている
・自信がなくなっている
・他者への関心が芽生えなくなっている
・他者との衝突が増えている
といった傾向があるようでしたら、自己肯定感から距離を置き、「自己受容」に取り組まれるのも選択肢の1つです。

​「自己受容」に取り組まれることにご興味を持たれた場合は、cocofiのカウンセリングをご活用ください。
 

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